麻子は、生まれてから高校生までの時間を千葉の海辺の町で過ごし、快活さと繊細すぎる一面を持ち合わせて育った。高校時代に予防医学への関心を抱き、国際医療福祉大学保健学部理学療法学科に進学し、理学療法を学んだ。現在では理学療法士のキャリアは10年を超え、認定呼吸療法士や介護支援専門員の資格も有している。中目黒の総合病院で勤務し、おもに骨関節疾患や脳血管疾患の理学療法を提供している。
大学では、運動学、解剖学、生理学はもとより、心理学、小児科学、スポーツ医学などの各専門科についても幅広く学んだ。勉学以外には、音楽、スノーボード、スキムボードに夢中となった。
卒業と同時に帝京大学医学部附属病院にて理学療法士としての道を歩み始めた。そこでは新生児から終末期の疾病や障害を抱えるひとへの理学療法のほか、集中治療室での呼吸理学療法、義足や装具作成なども行った。思い返せば、この頃にリハビリ室で「突然踊りだした」患者さんを見たのが、はじめて見たアサナだった。この経験を通して、ヨガとボディムーブメントとの深い繋がりを理解した。
数年後、あることをきっかけに、麻子はいままでにない強い自己否定と自信喪失を体験する。生活のスピードを落として自分自身に向かう時間をつくるために、大学病院から公立の障害者センターに転職し、デイケアや難病の在宅理学療法に関わるようになる。
心身を統合する経験を合わせていきながら、麻子はヨガと理学療法との共通点を見い出していった。内的感覚が目覚めていくことで、ヨガに深く入り込んでいった。さらにフェルデンクライスメソッド、タイヨガボディワークを学んだり、ヨガのワークショップに参加したりすることで、臨床で応用できるようなアサナと理学療法の深い関わりを確信した。ヨガをもっと知りたいという好奇心から、ヨガジャヤ・インターナショナル・ティーチャートレーニングを修了し、ヨガジャヤ認定講師(YJAT)とヨガアライアンスに登録された認定ヨガ講師(RYT)を取得する。
2008年、2009年に行われたクライブ・シェリダンの御嶽山リトリートにも参加し、彼から多大な影響を受けた。また、牧野修二氏からジュニヤナヨガを学びはじめたことで、マインドの作用について理解を深め、少しずつ自由になっていく感覚を味わっている。麻子は、プラクティスの力が自分自身について気付きを与え、変革を起こしうること、それと同時に、方法が不適切であれば心身に害であると経験的に認識している。今後は、分野にとらわれないスタイルで、いままでの経験を活かせる方法を模索し続けている。休暇にはアジアやアフリカ、熊野や小笠原への旅を満喫している。